2017年06月21日

シワと薄毛と活性酸素とPRP再生医療

今回はPRP再生医療について書きたいと思います。
PRP再生医療はシワや薄毛に対して行われる究極のアンチエイジング治療です。
PRP再生医療とはどのような治療なのか、そしてその治療効果をより高くするにはどうすれば良いのか、などを説明いたします。
その前に、老化した皮膚と若い皮膚の違いを、解りやすく図に示してみます。

皮膚構造の絵.png

皮膚が老化すると、
@表皮が薄くなり、A毛包が小さくなり、B線維細胞などの間質細胞が減少し、Cヒアルロン酸などの細胞外基礎が減少します
表皮が薄くなると細かいシワの原因になり、線維細胞やヒアルロン酸の減少は大きなシワやたるみの原因となります。毛包の小型化は薄毛の原因です。
その他の重要な変化は、「活性酸素」の増加と活性酸素を無力化させる「抗酸化酵素」の減少です。
人間のような好気性生物は、生命維持に必要なエネルギーを得るため、個々の細胞内のミトコンドリアで絶えず酸素を消費しています。ところが酸素の一部は、様々なストレスによって活性酸素に変換され、生体損傷を引き起こします。
 通常であれば、この悪玉の活性酸素を除去するために善玉の抗酸化酵素が産生されますが、老化した状態では、活性酸素が過剰に発生し、抗酸化酵素では中和しきれない状態になっています。そのため、細胞が損傷を受けて、癌や生活習慣病、肌老化、薄毛などの病気を発生すると言われています。

 ポリフェノールやビタミンE,ビタミンCなどは活性酸素を抑制する物質(抗酸化物)である事が知られていますが、実際に薄毛モデルのマウスにポリフェノールを塗布すると発毛が誘導され、同様に、皮膚を老化させたマウスに塗布するとシワの改善が認められます
 このような実験からポリフェノールやビタミンなどの抗酸化物はアンチエイジング治療において有用と考えられています。それなら人間でもポリフェノールを外用すれば効くのでは? と思いたいところですが、マウスに比べて人間の皮膚バリアの機能は厳重ですから、例え皮膚に塗布してもなかなか思うように吸収されず、良い効果が得られません。しかし、これらの抗酸化物を皮内注射により直接皮膚に注入してしまえば、皮膚バリアを気にする必要はありません。このような注入治療をメソセラピーと言います

★当院で行っているヒアルロン酸注射薬にはヒアルロン酸だけでなく、各種ポリフェノールやビタミン類、栄養源となるアミノ酸、カルシウム、マグネシウムなどの電解質、コエンザイムなどが含まれています。
 ヒアルロン酸は非架橋ヒアルロン酸という種類で、注入すると周囲に拡散するため、凹凸を形成せずに自然な感じで皮膚になじんできます。しかし、いずれ吸収されて消失してしまうので、効果を持続させるためには定期的な施術が必要となります。
 一方で、ヒアルロン酸と共に注入された各種成分は、活性酸素を減少させて皮膚が自らヒアルロン酸や線維細胞を産生するような環境にしてくれます。しかし、その効力は正直、弱いものです。もう一つ、何か加えなければ効果が得られない可能性があります。そして、その加えるべき治療というのがPRP再生医療です


 PRPとは自己の血液から採取した「多血小板血漿」のことです。血小板には傷を治す能力があり、傷部位に毛細血管を増やしたり、繊維芽細胞を増やして開いた傷を閉じるように再生させます。このような再生能力を持つ血小板を使った治療をPRP再生医療と言います
 通常の血液には、血小板が15〜40万個/μℓ認められますが、PRP治療では血小板が100万個/μℓ以上に濃縮された血漿を用いなければなりません。
 つまりPRPとは、増殖因子を豊富に保有する血小板の濃縮ジュースのようなものです。

それではどのような増殖因子が血小板に含まれているのでしょうか?
1.血小板由来増殖因子 PDGF: platelet derived growth factor
  線維芽細胞、平滑筋細胞、軟骨細胞などを増殖させる。コラーゲンやコラゲナーゼなどの細胞外基質
  の合成も促進するので、皮膚の再構築に貢献し、深いシワの改善につながります。

2.トランスフォーミング増殖因子‐β TGF-β: transforming growth factor
  線維芽細胞、平滑筋細胞の増加に貢献するが、最も重要な作用はコラーゲンやフィブロネクチンなど
  の細胞外基質の形成促進作用です。従ってPDGFと同様に深いシワの改善につながります。

3.血管内皮増殖因子 VEGE: vascular endothelial growth factor
  血管内皮増殖作用と血管透過性亢進が主な作用。つまり注入部位に新たに毛細血管が作られる
 (血管新生)。毛細血管が増えればその部位の血流が増え、その血流に乗って皮膚再生に必要な栄養素が
  豊富に流入してきます。。

4.上皮増殖因子 EGF:epithelial growth factor
  表皮細胞、線維芽細胞、血管平滑筋細胞、その他の上皮細胞の増殖を促進する。
  表皮が劣化しており表皮層が薄くなると小ジワを形成します。
  表皮細胞が増殖すれば表皮層が厚くなり、細かいシワは改善されます。
  また、毛根を構成する毛包細胞は表皮細胞から連続したものであり、EGFは毛包細胞の増殖をも
  もたらします。

★しかし、せっかくPRPを注入して皮膚内に増殖因子を注ぎ込んでも、皮膚内の環境が悪いと、増殖因子がその能力を十分に発揮できない可能性があります。
そのためにPRP再生医療の前後にヒアルロン酸含有のメソセラピーを行うことで、皮膚内の活性酸素を抑制させ、PRPの増殖因子が働きやすい環境に整える事が重要です。
それが当院で推奨している、メソセラピーとPRP再生医療のコンビネーション治療です



posted by 院長 at 14:40| 日記

2017年05月14日

AGA治療の質問への回答A:活性酸素の関与とメソセラピー

質問:AGA治療の”コツ”のようなものはありますか?(40歳、男性)

答え:
前回で少し述べましたが、個々の治療の有効率は高くないので、2種または3種の(効能が異なる)治療を併用するのが「大満足」への近道です。

大切なのは長期間続けても安全なものを選択する事です。

現在、ミノキシジル外用(血行改善)と5α還元酵素阻害剤内服(男性ホルモン活性化を抑制)の併用がベストとされていますが、それでも「大満足」に至らない事が多いのです。
(ミノキシジル内服は有効ですが危険性も伴うことは前回説明しました。)

そこで、第3の効能効果を知る必要があります。キーワードは「活性酸素の抑制」。
ミトコンドリアでは生体維持のため酸素が消費されますが、一部の酸素は様々な酸化ストレスによって活性酸素に変換されます。活性酸素は生体損傷力が強く様々な疾患の誘因となり、AGA発症にも関与していると言われています。殊にAGA部の毛包細胞は活性酸素などのストレスに対して、(正常部位の毛包細胞と比べて)より過敏であるとも言われています。

一方、活性酸素を抑えるものに抗酸化物質があります。ビタミンCやポリフェノールなどは周知の通りですが、この抗酸化物質が「AGA治療の鍵」と考えられています。実際にポリフェノールをネズミに塗布した実験では育毛効果が確認されています。
最近話題のビタミンC外用治療も抗酸化作用を期待したものと思われますが、残念ながら人間の皮膚バリア機能はネズミのものより数段発達しているので、塗布された抗酸化物質が十分には経皮吸収されません。
(ちなみに当院では、ミノキシジルにポリフェノールやアゼライン酸を加えたものを用意してあります。)

しかし、抗酸化物質を頭皮へ直接注入すればより確実な効果が期待できるのではないでしょうか?
それが当院で行っているメソセラピーです。当院では複数の抗酸化物質を含み、さらに、育毛に必要な栄養素である各種アミノ酸やビタミン類、コエンザイムを加えた溶液(安全性は承認されているもの)を直接頭皮へ注射し、毛包周囲の育毛環境を整えて発毛を誘導します。危険な人工的成長因子は含みません。
メソセラピーは定期的に継続すると効果が見られます。安定した育毛状態になれば、数か月に1回の施術で効果が維持されます。5α還元酵素阻害剤内服やミノキシジル外用を併用するとより高い有効率が期待できます。

○メソセラピーでも「大満足」出来ない場合はどうすればよいのでしょうか?
メソセラピーで毛包周囲の環境を整えた状態でも育毛が不十分の場合は再生医療の適応となります。
再生医療についての詳細は次回に予定します。
posted by 院長 at 14:54| 日記

AGA治療の質問への回答@

質問:AGAの治療にはどのようなものがありますか?(50歳代、男性。高血圧治療中)
答え:
AGAは「男性ホルモン性脱毛症」の略です。男性では男性ホルモンにより主に前頭部〜頭頂部にかけて、毛周期(成長期⇒退行期⇒休止期⇒成長期 の繰り返し)の成長期が短縮化して薄毛になります。近年は20才前後の若年で発症する傾向もみられます。

女性でも頭頂部を中心とした薄毛を発症しますが、この場合は男性のとは異なり、毛周期の休止期が延長して脱毛が発症すると考えられています。。

つまり、男性型は成長したくても成長できない状態、女性型は毛包細胞が休みがちな状態で、発毛が障害されていると言えます。

治療は、男女ともミノキシジル外用治療がある程度有用です。日本ではリアップレジスタードマークが販売されています(店頭価格は約7600円)。ミノキシジルは1960年代に開発された高血圧治療薬ですが、内服すると顔や頭、四肢、体などに毛が生える「多毛症」の副作用があり使用が中止になったものです。それを外用剤として育毛治療に用いたものがミノキシジル外用育毛剤です。
ミノキシジル外用治療は軽症AGAなら第一選択治療として良いと思います。当院ではアゼライン酸や各種ポリフェノール(いずれもAGAには有用とされています)を含むミノキシジル溶液を5.3%の濃度からさらに濃いものまで用意しています(5.3%で税込3800円)。

内服薬ではテレビコマーシャルでも見かける5α還元酵素阻害薬(男性ホルモン活性化を抑制して育毛を促す薬:プロペシアレジスタードマーク、ザガーロレジスタードマーク)もあります(男性のみ適応)。
男性ホルモンを活性化するのが5α還元酵素(1型と2型の2種)ですが、プロペシアレジスタードマーク(製品名フィナステリド)はその2型を阻害します。フィナステリドはすでにジェネリックが安く販売されています。ザガーロレジスタードマークは1型と2型の両方を阻害します。2型においてもフィナステリドより強く阻害し、男性ホルモンの活性化をより強力に抑制して育毛を促します。ジェネリックはまだ発売されていません。
男性ではミノキシジル外用とこの薬の併用治療が良いとされています(女性型はミノキシジル外用のみ)。
これらの5α還元酵素阻害剤は脱毛を専門に行っていない一般のクリニックでも購入する事ができます。

○ミノキシジル外用と5α還元酵素阻害剤内服の併用治療が効かない場合はどうするの?

両者の併用治療で「大満足」できないケースは意外なほど多く見受けられます。だからAGA専門のクリニックが成立しているのです。

1つの手段はリアップの成分であるミノキシジルを内服するという方法があります。これとフィナステリドやザガーロの併用は非常に強力ではないかと考えます。しかし、ミノキシジルは本来は降圧剤(1960年頃に開発された高血圧治療薬で多毛症の副作用があるために使用中止になったもの)ですから注意が必要です。

最近の高血圧治療では、いかに頻脈にならずに、いかに腎臓への血流を保持しながら、血圧を安全に下げるかという目標が掲げられています。しかしミノキシジルは古い降圧剤なので、副作用に頻脈があります。頻脈は心臓へ負担をかけるので虚血性心疾患や不整脈の誘因ともなります。従って、ご高齢の方、高血圧治療中の方、心臓・腎臓疾患がある方などでは使用を控えるべきでしょう。どうしてもミノキシジル内服で治療したい希望がある場合は、きちんとしたインフォームドコンセントの説明を受け、厳密に血圧管理〜高血圧治療ができる施設でミノキシジルを処方してもらうのが賢明と考えます。

当院では高血圧治療が可能でミノキシジルも用意はしています。しかしAGA治療は長期間継続しなければならないので安全性が非常に大切です。当院では安全なメソセラピーや再生医療も勧めています。
詳細は次回で。
posted by 院長 at 14:16| 日記