先日、首のイボは実は皮膚腫瘍であり、治療は皮膚腫瘍切除術という保険適応された炭酸ガスレーザーによる切除術を行う事を説明しました。
今回は、何故首に「イボ」ができるのか?という事について解説します。
加齢と紫外線が大きな要因ですが、それ以外には体質(遺伝)と肥満を挙げる事ができます。
遺伝といっても厳密な遺伝病ではなく、「背が高い家系」、「うす毛の家系」といった血族内に同様の症状を呈する人が多い、という程度のものです。この場合「イボ」は首だけではなく顔や下あごにもたくさん認められる事が多いです。紫外線は悪化要因ですから、「イボ」家系の人は顔〜首まで広範囲に日焼け止め対策をする事が勧められます。
肥満によるもの:表皮細胞にはインスリン様成長因子受容体(insulin-like growth factor receptor) というものがあり、肥満状態でインスリンが過剰に分泌された状態では、そのインスリンが皮膚のこの受容体に結合します。すると表皮細胞の増殖にスイッチが入って「イボ」が首や腋下に出現し、さらに首の付け根や腋下に黒色変化(黒色表皮腫)も出現します。この症状は体の危険性を告知したサインですので、治療は「イボ」の切除だけでなくダイエットが必要となります。
単なる「イボ」と思われがちですが、奥深い考察をすることができます。やはり、皮膚科を受診して相談することをお勧めします。
2023年02月03日
首のイボ、何故できる?
posted by 院長 at 07:58| 日記
2023年01月29日
顔面播種状粟粒性狼瘡(Lupus Miliaris Disseminatus Faciei、LMDF)の治療
顔面播種状粟粒性狼瘡(Lupus Miliaris Disseminatus Faciei、以下LMDF)は比較的稀な顔面中央に多発性に小さい肉芽腫を形成する疾患です。数年で自然治癒しますが目立つ瘢痕を残すため積極的な治療が必要とされています。
LMDFは半世紀以上前から診断が確立されている疾患ですが、有効な治療法がまだありません。
テトラサイクリン系抗生剤、トラニラスト内服、シクロスポリン(免疫抑制剤)内服、などなど様々な治療が試みられていますが、いずれもエヴィデンスに伴った治療ではありません。
2021年、LMDFの皮膚から腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor 以下TNF)が検出された事から抗TNF薬を用いて治療したところLMDFが改善したという報告がありました。これはエヴィデンスに基づた治療と考えられます。
しかし、抗TNF薬は高額であり副作用もあるため、すべてLMDF患者に使用する事は難しい。一方、創傷治癒を促進させる目的でLED照射を用いますが、この時に創傷内のTNFが減少して傷が治ってゆく事が知られています。このLED照射治療の特性を利用すればLMDFの改善を誘導する可能性が推察されます。
実際、当院でLMDFの患者さんにLED照射治療を行ったところ改善が見られました。
この事を症例報告としてアメリカの医学雑誌に投稿したところ審査に合格し論文として発表されます。難病のLMDFに対する新しい治療としてLED治療は十分に値すると考えております。
LMDFに単純にLEDを照射すれば良いというわけではなく、どの種類のLEDをどのくらいの強度で照射するかが非常に重要なポイントになります。
適度なLED照射による治療は副作用がほとんどない耐用性に優れた治療法で、妊娠中でも治療可能です。当院では予約なしでLED治療を受ける事ができます。1回1,100円で行えます。
LMDFは非常に難治性で傷跡を残す疾患です。LMDFでお困りの方は是非当院にご相談ください。

LMDFは半世紀以上前から診断が確立されている疾患ですが、有効な治療法がまだありません。
テトラサイクリン系抗生剤、トラニラスト内服、シクロスポリン(免疫抑制剤)内服、などなど様々な治療が試みられていますが、いずれもエヴィデンスに伴った治療ではありません。
2021年、LMDFの皮膚から腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor 以下TNF)が検出された事から抗TNF薬を用いて治療したところLMDFが改善したという報告がありました。これはエヴィデンスに基づた治療と考えられます。
しかし、抗TNF薬は高額であり副作用もあるため、すべてLMDF患者に使用する事は難しい。一方、創傷治癒を促進させる目的でLED照射を用いますが、この時に創傷内のTNFが減少して傷が治ってゆく事が知られています。このLED照射治療の特性を利用すればLMDFの改善を誘導する可能性が推察されます。
実際、当院でLMDFの患者さんにLED照射治療を行ったところ改善が見られました。
この事を症例報告としてアメリカの医学雑誌に投稿したところ審査に合格し論文として発表されます。難病のLMDFに対する新しい治療としてLED治療は十分に値すると考えております。
LMDFに単純にLEDを照射すれば良いというわけではなく、どの種類のLEDをどのくらいの強度で照射するかが非常に重要なポイントになります。
適度なLED照射による治療は副作用がほとんどない耐用性に優れた治療法で、妊娠中でも治療可能です。当院では予約なしでLED治療を受ける事ができます。1回1,100円で行えます。
LMDFは非常に難治性で傷跡を残す疾患です。LMDFでお困りの方は是非当院にご相談ください。

posted by 院長 at 13:22| 日記
酒皶(しゅさ、酒さ)の治療:LED治療の有効性について
酒皶(しゅさ、酒さ)は日常よく遭遇する皮膚疾患ですが、一般にはあまり知られていません。一般だけでなく皮膚科専門医でも酒皶とニキビの区別がつかない医師は多いと思います。何故なら、ニキビとして治療を受け、治らないから当院を受診してきた方が酒皶だったという事が多いからです。
酒皶に関する論文も、本邦(日本)のものはほとんど見られません。唯一の本邦著者は東北大学皮膚科出身で現在は東北で開業(りふ皮膚科クリニック)されている山崎研志先生で、酒皶の発症メカニズム解明について研究されていました。酒皶の治療に関する論文は日本のものは皆無で、ほぼ欧米・中国からの報告に占められています。
なぜ本邦で酒皶の認識が遅れているのか?、それは、昨年(2022年)秋まで認可された薬がなかったからです。現在、ようやく認可された薬はロゼックスゲルⓇという外用剤ですが、実はこれで全て解決できるというわけではありません。
酒皶は30〜50歳代の女性に好発し顔の中央が赤くなる疾患でステージ別に4段階に分類されます。難治性でなかなか治りません。酒皶のステージによりロゼックスゲルⓇが効かないタイプがある事、ヒリヒリするような皮膚刺激感が副作用にある事、妊娠中や授乳中に使用が制限される事などの理由でこのゲルだけでは治療対策としては十分ではありません。
私はロゼックスゲルⓇが承認される前から酒皶に対してLED照射治療を行ってまいりました。昨年、それを論文にまとめ日本臨床皮膚科学会雑誌に投稿したところ諮問に通り、今年その論文が掲載されることになりました。
LEDが何故酒皶に効くのかはここでは割愛しますが、一番のポイントは過剰なLED照射はかえって酒皶を悪化させ、適度なLED照射は酒皶を改善させるという事です。しかし、酒皶は慢性の炎症性疾患ですから、いったん良くなってもLED治療をすぐに終了すると再発してしまいます。良くなったあとも維持治療として定期的な照射が大切です。
LED照射は適度に照射すればほぼ副作用がない治療で耐用性の高い治療です。
当院では予約なして照射が可能で、酒皶の場合は1回1,100円で行っています。

酒皶に関する論文も、本邦(日本)のものはほとんど見られません。唯一の本邦著者は東北大学皮膚科出身で現在は東北で開業(りふ皮膚科クリニック)されている山崎研志先生で、酒皶の発症メカニズム解明について研究されていました。酒皶の治療に関する論文は日本のものは皆無で、ほぼ欧米・中国からの報告に占められています。
なぜ本邦で酒皶の認識が遅れているのか?、それは、昨年(2022年)秋まで認可された薬がなかったからです。現在、ようやく認可された薬はロゼックスゲルⓇという外用剤ですが、実はこれで全て解決できるというわけではありません。
酒皶は30〜50歳代の女性に好発し顔の中央が赤くなる疾患でステージ別に4段階に分類されます。難治性でなかなか治りません。酒皶のステージによりロゼックスゲルⓇが効かないタイプがある事、ヒリヒリするような皮膚刺激感が副作用にある事、妊娠中や授乳中に使用が制限される事などの理由でこのゲルだけでは治療対策としては十分ではありません。
私はロゼックスゲルⓇが承認される前から酒皶に対してLED照射治療を行ってまいりました。昨年、それを論文にまとめ日本臨床皮膚科学会雑誌に投稿したところ諮問に通り、今年その論文が掲載されることになりました。
LEDが何故酒皶に効くのかはここでは割愛しますが、一番のポイントは過剰なLED照射はかえって酒皶を悪化させ、適度なLED照射は酒皶を改善させるという事です。しかし、酒皶は慢性の炎症性疾患ですから、いったん良くなってもLED治療をすぐに終了すると再発してしまいます。良くなったあとも維持治療として定期的な照射が大切です。
LED照射は適度に照射すればほぼ副作用がない治療で耐用性の高い治療です。
当院では予約なして照射が可能で、酒皶の場合は1回1,100円で行っています。


posted by 院長 at 11:44| 日記