1.はじめに
酒さは慢性的に顔が赤く腫れぼったい状態を言い、病気が進行するとニキビのような赤いブツブツも出現し、非常に治りにくい疾患です。
運動後や気温の変化に伴う一過性の顔の発赤とは異なります。
酒さには遺伝的背景はありますが、他にもニキビ菌、角栓などいろいろな要因が重なって発症します。
2.病態
@酒さでは皮膚バリア機能が低下し、角質の保水能力も低下しています。
Aバリア機能が破壊された状態はプロテアーゼ(カリクレイン5)の活性化を通して、カセリシディン(LL-37)を異常活性させ、これが皮膚の炎症を誘発します。
3.LL-37
このLL-37は細菌、カビ、寄生虫に対して抗菌的に作用して炎症を引き起こす物で、発赤や血管拡張の原因になっています。
実際に、LL-37をマウスの皮内に注射すると、酒さと同様の皮膚症状を再現することができます。
4.治療
酒さの治療では如何にしてこのLL-37を減少されるかがポイントになってきます。
さらに破壊されたバリア機能を回復させる事も重要です。
保険診療内だけの治療では酒さを治すことは困難です。特殊な石けん、特殊な外用剤などの使用がどうしても必要になります。それでもなかなか改善しません。
当院に設置した光治療器は、照射によりLL-37が減少する事が報告されている機器です。
副作用や痛みもなく、1回2,200円(学生は1,100円)で月4〜8回照射が推奨されます(予約は不要。ただし初診の場合は予約して診察を受けて下さい)。
1回の効果が弱いので10〜20回の照射が必要ですが、新たな補助治療としては有望なものです。
2021年08月27日
酒さ(赤ら顔)の治療法(再生医療とは無関係です)
posted by 院長 at 12:41| 日記