2020年06月11日

AGA治療における当院の再生医療の成績

当院ではAGAに対してPRPやHARGなどを行ってきましたが、最終的にはPRPとCytB(臍帯血幹細胞由来サイトカイン)のコンビネーションを採用し、さらにそれにミノキシジルメソセラピーを併用する方法を考案いたしました。
AGAに対するPRP単独の再生医療は、論文上では有効率70〜75%とされています。何故、効かない場合があるのか、これは現在も議論中の課題ですが、毛包発育を阻害するインターロイキン1ファミリーの存在が一つの原因ではないかとも考えられております。
今回、再生医療に併用すると決めたミノキシジルメソセラピーですが、ミノキシジルにはインターロイキン1αの発現を抑制する効果が確認されています。当院ではこの抑制効果を期待して、再生医療に併用する事にいたしまいた。
まだまだ症例数は少ないですが、結果を下記に記します。

尚、治療1〜3回でドロップアウトしたのが女性で一人、男性でも一人あり、これはカウントには加えませんでした。
また、再生医療以外の治療として、男性はフィナステリド/デュタステリドを服用、女性はパントガールを服用。外用治療は男性・女性ともにミノキシジル外用を行っております。
ミノキシジルを服用している場合は、個別に記載しております。
今回の有効の判定は、肉眼的外観の改善を前提としております。前述したPRP治療の論文では拡大鏡を用いてミクロの変化で効果を判定しておりますが、ミクロの改善があっても肉眼的外観も改善するとは限りません。臨床においてはあくまでもご本人の満足度が大切なので、私は肉眼的所見の変化を重要視しました。従って報告論文におけるPRP治療の有効率が70〜75%と前述しましたが、肉眼的に満足したのが何%かは不明です(当然70〜75%より低い値になります)。
実は、今回の女性の無効例(1例)は、拡大鏡所見では改善が見られておりました。しかし肉眼的な改善が不明瞭だったため、無効と判定しております。

性  計  有効  無効  有効率
男  15    13      2     86.7%
女  6      5     1     83.3%

男女ともに85%前後の非常に高い有効率が得られ、(論文報告の)PRP単独治療の有効率(拡大鏡による判定)よりも良い結果がえられました。
男性で無効だった65歳男性は、本当に全く効果がみられませんでした。また、男性でもう一人の無効例は、植毛後の方で、却って悪化するという訴えがありました。
しかし一方で、有効だった例には、1回の施術で明らかな効果が見られた例もあります。よく効いた場合と全く効かない場合の差が著しく、今後は治療経験を蓄積して検討してゆきたいと考えております。
ただ有効率が高率であった事は朗報であることに間違いはありません。
下記に数例の治療前後の写真を掲載します。

この方は60歳代の女性例ですが、非常に良好な反応がみられました。
AGA5.jpg



この方はミノキシジル内服に不安を覚え、ミノキシジル内服を終了する目的で再生医療+ミノキシジルメソセラピーを開始しました。内服していたミノキシジルを中止した影響(脱毛の再燃)が4か月後まで見られましたが、その後は発毛が増えて治療前よりも頭髪量は増えました。
AGA4.jpg



この方は非常に難治性の例で、途中からミノキシジル2.5mgを併用せざるを得ない状況でした。
通常、この重症度ではミノキシジル5mgで治療しますが、再生医療+ミノキシジルメソセラピーを行っている事から2.5mgに抑える事ができ、結果も良好となってきました。写真では後方から発毛は徐々に増えてきているのが観察できます。
AGA3.jpg



この方も非常に難治性の方です。ミノキシジル2.5mg併用しましたが奏功せず、最終的にPRP&CytB&ミノキシジルメソセラピーの治療を併用してから一気に発毛が加速されるようになりました。
AGA2.jpg



この方も難治性の例です。2年近く治療させていただき、最終的に現在のPRP&CytB&ミノキシジルメソセラピーにたどり着き、現在発毛が順調にみられている状況です。
AGA1.jpg
posted by 院長 at 20:25| 日記