2023年01月29日

顔面播種状粟粒性狼瘡(Lupus Miliaris Disseminatus Faciei、LMDF)の治療

顔面播種状粟粒性狼瘡(Lupus Miliaris Disseminatus Faciei、以下LMDF)は比較的稀な顔面中央に多発性に小さい肉芽腫を形成する疾患です。数年で自然治癒しますが目立つ瘢痕を残すため積極的な治療が必要とされています。
LMDFは半世紀以上前から診断が確立されている疾患ですが、有効な治療法がまだありません
テトラサイクリン系抗生剤、トラニラスト内服、シクロスポリン(免疫抑制剤)内服、などなど様々な治療が試みられていますが、いずれもエヴィデンスに伴った治療ではありません。
2021年、LMDFの皮膚から腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor 以下TNF)が検出された事から抗TNF薬を用いて治療したところLMDFが改善したという報告がありました。これはエヴィデンスに基づた治療と考えられます。
しかし、抗TNF薬は高額であり副作用もあるため、すべてLMDF患者に使用する事は難しい。一方、創傷治癒を促進させる目的でLED照射を用いますが、この時に創傷内のTNFが減少して傷が治ってゆく事が知られています。このLED照射治療の特性を利用すればLMDFの改善を誘導する可能性が推察されます
実際、当院でLMDFの患者さんにLED照射治療を行ったところ改善が見られました。
この事を症例報告としてアメリカの医学雑誌に投稿したところ審査に合格し論文として発表されます。難病のLMDFに対する新しい治療としてLED治療は十分に値すると考えております
LMDFに単純にLEDを照射すれば良いというわけではなく、どの種類のLEDをどのくらいの強度で照射するかが非常に重要なポイントになります。
適度なLED照射による治療は副作用がほとんどない耐用性に優れた治療法で、妊娠中でも治療可能です。当院では予約なしでLED治療を受ける事ができます。1回1,100円で行えます。
LMDFは非常に難治性で傷跡を残す疾患です。LMDFでお困りの方は是非当院にご相談ください。
LMDF図.png

posted by 院長 at 13:22| 日記

酒皶(しゅさ、酒さ)の治療:LED治療の有効性について

酒皶(しゅさ、酒さ)は日常よく遭遇する皮膚疾患ですが、一般にはあまり知られていません。一般だけでなく皮膚科専門医でも酒皶とニキビの区別がつかない医師は多いと思います。何故なら、ニキビとして治療を受け、治らないから当院を受診してきた方が酒皶だったという事が多いからです
酒皶に関する論文も、本邦(日本)のものはほとんど見られません。唯一の本邦著者は東北大学皮膚科出身で現在は東北で開業(りふ皮膚科クリニック)されている山崎研志先生で、酒皶の発症メカニズム解明について研究されていました。酒皶の治療に関する論文は日本のものは皆無で、ほぼ欧米・中国からの報告に占められています。
なぜ本邦で酒皶の認識が遅れているのか?、それは、昨年(2022年)秋まで認可された薬がなかったからです。現在、ようやく認可された薬はロゼックスゲルⓇという外用剤ですが、実はこれで全て解決できるというわけではありません。
酒皶は30〜50歳代の女性に好発し顔の中央が赤くなる疾患でステージ別に4段階に分類されます。難治性でなかなか治りません。酒皶のステージによりロゼックスゲルⓇが効かないタイプがある事、ヒリヒリするような皮膚刺激感が副作用にある事、妊娠中や授乳中に使用が制限される事などの理由でこのゲルだけでは治療対策としては十分ではありません
私はロゼックスゲルⓇが承認される前から酒皶に対してLED照射治療を行ってまいりました。昨年、それを論文にまとめ日本臨床皮膚科学会雑誌に投稿したところ諮問に通り、今年その論文が掲載されることになりました。
LEDが何故酒皶に効くのかはここでは割愛しますが、一番のポイントは過剰なLED照射はかえって酒皶を悪化させ、適度なLED照射は酒皶を改善させるという事です。しかし、酒皶は慢性の炎症性疾患ですから、いったん良くなってもLED治療をすぐに終了すると再発してしまいます。良くなったあとも維持治療として定期的な照射が大切です。
LED照射は適度に照射すればほぼ副作用がない治療で耐用性の高い治療です。

当院では予約なして照射が可能で、酒皶の場合は1回1,100円で行っています。
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posted by 院長 at 11:44| 日記

首のイボの治療

最近ネットで、首のイボを自分で治す、というコマーシャルを拝見しましたので、首のイボとその治療について解説したいと思います。
首のイボはよく見かけるものですが、正確な診断名は多発性の軟線維腫という皮膚腫瘍です。脂漏性角化症という別の皮膚腫瘍が混在している事もありますが、いずれにしろ正式には「イボ」ではなく「皮膚腫瘍」に分類されます。
治療は「皮膚腫瘍切除術」という保険治療が適応されます。3割負担でだいたい8,000円〜15,000円ですべてのものを一度に切除することができます。
少ない場合で10〜30個多い場合で300個ほどを一度にレーザーで切除します。時間は5〜15分ほどで終了します。
一見、数個の「イボ」であっても、光を照らして観察すると小さい予備軍(皮膚色なので目立たない)がたくさん認められます。切除する場合はこれらの予備軍もまとめて切除します。そうすると5年間くらいは安泰な状況でいられます。この予備軍を残すとこれが育って次々に「イボ」に成長してしまいます。
当院では痛くないように手術前の麻酔方法を説明しレーザーで切除しますので苦痛はありません。
術後1週間弱はかさぶたが付着した状態となるので数日はガーゼを巻いて自宅処置します。その後はかさぶたが取れてきれいな状態になります。ですから、最初の1週間は襟のある服装が便利になり、冬期での施術がお勧めです。(入浴は当日から可能ですが、肩までの入浴となります。)
k首いぼ図.png
アクロコルドン.png
posted by 院長 at 10:26| 日記